遺言書だけでは認知症対策にはならないってホント?
A.遺言書が効力を発症するのは、遺言を遺した人が亡くなった後です。
そのため、遺言書では生前の財産管理ができないため、認知症対策にはなりません。
では、認知症対策に効果的な制度とは何なのでしょうか。詳しく解説させて頂きます。
遺言書の作成件数は増加傾向
日本公証人連合会の統計によると、2017年の1年間でつくられた公正証書遺言の数は11万件です。
ちなみに10年前である2007年の1年間につくられた公正証書遺言の数は約7万4000件ですから、遺言書をつくる人の数は増加傾向にあると言えます。
遺言書のメリット
遺言書を作るメリットはなんでしょうか?それは、亡くなった人の相続人全員のハンコがなくても遺言書にもとづいて相続手続ができることです。
遺言書を作ってない場合、亡くなった人の遺産について相続手続をするためには、相続人全員の実印と押印と印鑑証明書書が必要になります。
この相続人全員の協力が得られないと、不動産を相続登記したり、預貯金の相続手続きをしたりできなくて困ってしまいます。
相続人同士の仲が悪い場合はもちろん、思わぬ人が実は相続人だったりして困ることがあります。
これらの問題に備える為に適切に遺言書を作っておけば、いざ相続となった時に遺言書にもとづいて相続手続きができます。
遺産分割協議ができなくて相続手続きが進まないという事態を回避できるのです。
認知症対策を忘れてはいませんか?
備えるのは相続に対してだけで十分でしょうか?
遺言書の効力が発生するのは、遺言をした人が亡くなった時です。
亡くなる前のことに対しては遺言書では対応できないのです。つまり、生前の財産管理や認知症対策は遺言書ではカバーできません。
生前の財産管理も含めて対応するためには、家族信託が必要となってきます。
平均寿命が年々伸びていくに比例して、認知症の患者さんの数も増加していくと予想されます。
2025年には65歳以上の約5人に1人は認知症であるという推計もあります。
これからの日本は、相続対策だけでなく認知症対策にも目を向けていく必要があるでしょう。