家族信託と遺言の違いとは?徹底解説!
家族信託と遺言の違い
遺言書と家族信託の違いは主に下記になります。
①優先度
②効果を持つ期間
では具体的に遺言書と家族信託でどのような違いがあるのか説明します。
①優先度
家族信託は遺言書よりも優先されます。
遺言書・家族信託共に財産の承継先を生前に決めておくことができますが、
もし遺言書では実家を長男に、家族信託契約では実家を次男にと財産の承継先が異なる契約になっていた場合は家族信託の契約書に書かれている内容が優先され、実家は次男が承継することになります。
ではなぜ家族信託契約が遺言書よりも優先されるのでしょうか?
よく生前対策のご相談で後にされた契約が優先されるのでは?というご質問をいただきます。しかし遺言書と家族信託信託契約の場合は順序に関係なく家族信託契約が優先されます。
順序別になぜ家族信託契約が優先されるのか見てみましょう。
先に遺言書、後から家族信託契約を結んでいた場合
遺言書と家族信託契約でどちらにも記載されている財産については家族信託契約を優先します。
これは生前に個人の財産の承継先を決める場合、最後に意思表示したものが優先されるからです。
先に家族信託契約、後から遺言書を書いていた場合
先ほどの場合、最後に意思表示したものが優先であるということだったので、後から遺言書を書く場合は遺言書が優先されると思われる方が多いですが、家族信託契約で生前対策をする財産(=信託財産)は本人(=委託者)の財産ではなくなります。
そのため家族信託契約内に含まれる財産(=信託財産)が後から書かれた遺言書にも記載されていた場合には家族信託の内容が優先されます。
②効果を持つ期間
遺言書と家族信託の違いとして効果を発揮する期間の違いがあります。
具体的には遺言書では一次相続(遺言書を書いた本人の相続)のみで効果を発揮します。
一方で家族信託では一次相続以降も効果を持っています。
例えば、土地の承継先を家族信託で決めるにあたり、所有者のAさんが遺言書を書いた場合、Aさんの相続時にのみ効果を発揮します。
つまり、Aさんの次に誰が相続するかだけを決めておくことができます。
家族信託では承継先を自身の相続以降も決めておけるので、土地の例では、Aさんの財産を妻が管理し、Aさんの死後は長男が相続し、長男の死後はその息子が相続し・・と先まで決めておくこともできます。